労務相談事例集Q&A 労災

労務相談事例集Q&A

質問一覧

総数47件 1 2

該当する情報が見つかりませんでした

総数47件 1 2

回答一覧

総数47件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

業務災害は「業務遂行性」と「業務起因性」の有無で判断されます。
業務遂行性とは「労働者が労働契約に基づき、使用者の支配下にあること」です。
業務起因性とは「業務と負傷との間に相当の因果関係があること」です。

ご質問の出張中のケガの取扱いについて、まずは業務遂行性について考えます。
出張中、労働者はその業務の遂行・方法等について事業主の指揮・命令に基づいているものであることから出張過程の全般が事業主の支配下にあるものとして考えられます。
その意味において、業務遂行性が認められます。

業務起因性については、出張中、食事、宿泊、入浴といった行為が当然考えられます。こうしたいわば私的行為中に生じた災害についても、出張に通常伴う範囲内のものであり、労働者が合理的な順路、方法による出張の場合には、業務との関係性があり、業務起因性も認められることになります。 

よって、この2点から宿泊中のケガに対しても業務災害となります。

しかし、出張目的外の私的な理由のために本来の出張の経路をはずれるような場合(出張先以外で催し物を見物中に負傷した場合)、あるいは私的・恣意的行為・業務逸脱行為(泥酔の上、騒いで転倒した場合)に生じた災害については、労働者が自ら招いた災害といえますから、業務災害とは認められません。

通勤災害は労働基準法上におきまして、使用者に災害補償責任は課せられておりませんので、3日目までを補償する必要はありません。

通勤災害は、業務災害と同様に労災保険法により休業した場合の補償を受けることができます。しかし労働基準法上、通勤災害は使用者に災害補償責任は課せられていません。
業務災害の休業補償給付に対して通勤災害の場合は休業給付といいますが、休業4日目から休業給付(給付基礎日額の6割に相当する額)と、休業特別支給金(給付基礎日額の2割に相当する額)が給付されることとなります。

ちなみに労働者の業務災害による負傷等の場合、労災保険による補償が行われない3日間については、事業主が労働基準法に基づいて平均賃金の6割を補償することになります。           休業4日目からは通勤災害同様、給付基礎日額の8割が支給されることとなります。

【補足】
給付基礎日額(月給者の場合)=(災害発生日以前3カ月間の賃金総額)÷(その期間の総日数)
※賃金締切日が定められているときは、災害発生の日または、病気にかかったことが確定した日の直前の賃金締切日から起算されます。

通勤とは、就業するにあたって、住居と就業の場所との間を、合理的な経路と方法で往復することをいいます。
合理的な経路を逸脱したり、通勤とは無関係な行為によって通勤を中断したりした場合は、原則として通勤災害は認定されませんが、例外がいくつか認められています。

≪逸脱・中断とは?≫
「逸脱」とは、通勤の途中で就業や通勤と関係のない目的で合理的な経路からはずれることをいい、「中断」とは、通勤をいったん中断して通勤とは無関係の行為をすることをいいます。

逸脱や中断があった場合は、その間と、その後の往復は通勤に該当しなくなります。

しかしながら、逸脱や中断が、日常生活上必要と認められる行為をやむを得ない事由により行うための最小限度のものであると認められる場合は、逸脱や中断の間を除き、合理的な経路と方法に戻った後は通勤として認められます。

≪例外として認められるもの≫
(1) 日用品の購入その他これに準ずる行為
(2) 公共職業能力開発施設の職業訓練、学校教育その他、これらに準ずる教育訓練であって、職業能力の開発向上に資するものを受講する行為
(3) 選挙権の行使その他これに準ずる行為
(4) 病院や診療所で診察や治療を受けること、その他これに準ずる行為

今回のご相談のように、会社の帰りに病院で診察を受けたとしても、その逸脱・中断が最小限度のものであった場合は、合理的な経路に戻った後は再び通勤として認められますので、通勤災害に該当すると思われます。

会社側にそのことを説明し、通勤災害としての処理を依頼していただければと思います。

総数47件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16