労務相談事例集Q&A 労災

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示談が成立し、被災者である御社の従業員が示談額以外の損害賠償の請求権を放棄した場合には、示談成立後労災保険からの給付が受けられなくなります。

ご質問のように労災保険給付の原因である災害が第三者の行為などによって生じたものを第三者行為災害といいます。
労災保険法では第三者行為災害に関して「労災保険の受給権者である被災者等と第三者との間で被災者の有する損害賠償についての示談が真正に成立し、受給権者が示談額以外の損害賠償の請求権を放棄した場合、政府は、原則として示談成立以後の保険給付をおこなわない」と定められています。

したがって、安易に示談を成立させてしまうと、たとえ将来に示談金以上の労災保険の給付が見込まれても労災保険からは給付が受けられなくなってしまう可能性があるので示談をする場合には慎重な判断が必要とされます。
また示談が成立した場合には速やかに示談書の写しとともに労働基準監督署に申し出るようにして下さい。

業務災害として認められるには、使用者の指揮命令を受けて業務を遂行している最中にその業務に関連して起こった災害による負傷が対象となります。この要件は在宅勤務であっても通常の会社勤務であっても変わりありません。

ご相談頂いたケースですと、会社に提出する資料を作成している最中ということですから当然業務遂行中という要件は満たしております。また、例えばパソコンのマウスをクリックした弾みで手元に置いてあった湯飲みが倒れたのであれば、業務との関連性は認められるかと思います。具体的な認定に当たっては、他の災害と同様に個々の事案ごとに業務に起因して発生したものかどうかについて調査が行われ判断されることになりますが、業務の遂行場所が在宅勤務者の起居寝食など私的生活を営む自宅であることが、労災認定をより難しくしている一因となっています。

つまり在宅勤務については、使用者の直接の管理下を離れて業務に従事することになりますから、個々の行為については使用者の拘束を受けず在宅勤務者の任意に委ねられています。そのために業務時間中にさまざまな私的行為が行われるでしょうし、在宅勤務の性質からして、通常あり得ることと考えられます。災害が起こった際の現認者がいないと言うのも大きな要因かと思います。

前提として通常危険を伴う業務を在宅勤務の対象から外すことはもちろんですが、仮にパソコンを用いた軽易な内容であったとしても業務を遂行する場所と時間を私的な範囲から明確に区別させることが重要となります。例えば特定の部屋でのみ業務を行わせて業務開始時刻及び終業時刻をきっちりと会社に報告させることです。同時に業務の進捗状況なども随時把握しておくことが重要となります。就業場所が私的行為が混在する自宅であるからこそ、また直接使用者の目が行き届かない状況であるからこそ、在宅勤務者との間で事前のルールの確認とその遵守が強く求められます。

労災の適用があるかないかについては、入社前研修がどのような趣旨の下に行われるのかによります。特に参加が義務付けられていない職場見学や職場体験、あるいは単なる一般マナー研修等であれば労災の適用はありません。

研修中に労災適用が認められるには、労働基準法における「労働者」であることが求められます。つまり、研修への参加が強制(参加の義務があり遅刻早退には制裁が課せられる等)であり、研修内容についても入社後の業務遂行に必要不可欠な技能や知識を修得するためのものであること、またこの研修への参加時間を労働時間とし、労働の対価として一般の労働者並みの賃金(少なくも最低賃金以上)が支払われることが要件となります。

研修を実施する企業としては、事故のリスクを考慮してどの程度の研修を実施すべきか予め決定する必要があるかと思います。研修中の事故を完全に回避するのであれば、研修自体を行わないかあるいは座学等の一般研修にとどめるべきであり、強制参加を前提としたより実地業務に近い研修を行わせるのであれば、事前にアルバイト雇用契約を締結しその期間の給与を支払い、指揮命令関係を明確にした上で労災保険の適用をクリアにする必要があります。場合によっては、上積補償として民間の保険に加入するなどの対応があっても良いかも知れません。

また、研修施設などの企業内施設における安全管理については、事業主に安全配慮義務が課せられています。労災保険の適用の有無に関わらず、事故への過失が認められれば損害賠償を求められるケースもあります。

いずれにしましても万が一の場合に備えての安全管理はもちろんのこと、内定者に研修の趣旨をしっかりと伝え理解を得ること、そして実際に事故が発生した場合の社内対応やフォローについて事前に確認しておくことが重要になります。

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