労働保険の特別加入や雇用保険の保険料の申告・納付・申請・加入・届出・報告|労働保険事務組合のPMネットワーク

労務相談事例集Q&A

質問一覧

回答一覧

  • Q1. この度、当社の工場長が役員に就任することになりました。業務内容は今までと変わらず業務執行権も有していないので、兼務役員として雇用保険、労災保険も従来通りと考えています。今まで兼務役員はいなかったのですが、手続等の注意点を教えてください。

    A1. 代表取締役、取締役、監査役等の役員には労働保険は適用されません。しかし、取締役等の役員であっても、業務執行権がなく同時に支店長や工場長などの従業員としての身分を有しているものは業務の実態や就業規則の適用状況等を総合的に判断した上で労働者としての性格が強い兼務役員と判断された場合には労働保険が適用されます。
    この際の手続としては、「兼務役員等の雇用実態証明書」に定款・議事録・登記簿謄本・就業規則・賃金台帳等を添付してハローワークへ届け出ることになります。
    ハローワークで総合的に判断した結果、労働者性があると判断されると雇用保険の被保険者となります。判断基準のひとつに賃金と役員報酬の比率があります。兼務役員になると役員としての「報酬」と労働者としての「賃金」の両方が支払われることになります。このときの報酬と賃金を比較し、役員報酬のほうが多く支払われている場合には役員としての役割が大きく、労働者性は低いと判断されますので、賃金は役員報酬より多く支払われている必要があります。
    労災保険については、業務執行権がなく、労働の対価として賃金が支払われている場合には原則として労働者として取り扱われるため、特別な手続は必要ありません。
    兼務役員と判断された場合は労働保険が適用されるため、保険料が徴収されます。保険料算出の際には労働者としての賃金に対してのみ保険料を算出します。これは離職票の発行や休業補償給付等の申請の際も同様で役員報酬を除いた賃金のみが労働保険の対象になりますので、労働保険の年度更新や給与計算の際にはご注意ください。

  • Q2. 法人の代表者で船員を雇用していない船舶所有者です。現在、船員保険に加入しておりますが、平成22年1月1日から労災保険に統合されると聞きました。職務上の怪我や病気に対する給付は労災保険からの給付になるのでしょうか?

    A2. ご質問の件ですが、船員を雇用していない代表の方については、労災保険の「一人親方等の労災保険特別加入」に加入しなければ、職務上の怪我や病気に対しての給付がされません。

    今回統合される労災保険は、「労働者の職務上の事由又は通勤による怪我や病気に対して必要な給付を行う」制度であり、船員を雇用しておられない法人の代表者への適用がございません。
    しかしながら、労働者以外で、その業務の実情、災害発生状況からみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方に対して、労災保険へ特別加入を認めている制度があります。今回の労災保険への統合に伴い、船員を雇用していない船舶所有者の方は、「一人親方等の労災保険特別加入制度」に加入できるように法律改正がされました。労災へ特別加入をすることにより、職務上の怪我や病気に対する給付を受けることができるようになります。

    その特別加入に関する保険料は保険料算定基礎額に保険料率(50/1000)を乗じたものとなります。
    保険料算定基礎額は、給付基礎日額(簡単に言えば1日の補償額)に365日を乗じたものであり、給付基礎日額3,500円〜20,000円の範囲で所得水準に見合った額で申請して頂くことになります。

    例えば給付基礎日額10,000円の場合
    10,000円×365日×50/1000=182,500円
    この182,500円が年間の労働保険料となります。

    またご質問の方とは別に、現在、船員保険の対象外とされています個人事業主である船舶所有者の方でも労災保険の特別加入が可能となり、労働者を雇用していない方は「一人親方等の労災保険特別加入」の適用を受けることができます。

    その一人親方等の労災特別加入に関しては、一人親方等の労災特別加入団体に加入した上で、特別加入申請書を管轄の労働基準監督署へ提出します。

  • Q3. 現在の船員保険では、職務上疾病や年金について一般の健康保険よりも手厚いものとなっていますが、平成22年1月以降もその給付水準は保たれるのでしょうか?

    A3. ご安心ください。船員労働の特殊性を踏まえてこれまでの水準は維持されます。職務上疾病・年金に関する部分は労災保険制度から給付されますが、それでカバーできない部分については船員保険制度から給付(上乗せ給付)することとしています。

    【船員保険による主な上乗せ給付】
    @雇入れ契約存続中に職務外の事由による傷病を負った場合、下船後3ヶ月間は職務外傷病の療養費用として10割を負担
    A職務上の傷病について4ヶ月間は100%の所得保障を実施
    ―労災から休業(補償)給付を60%、船員保険から特別手当金として40%が給付される(注:上限の保障を100%とするため、労災から特別給付金20%が支給される場合は、船員保険の特別手当金は20%となる。また、それぞれの計算の根拠となる日額は労災保険、船員保険ではそれぞれ異なる場合があるので注意が必要) 
    B職務上の障害に対する年金の最低保証(「障害差額一時金・障害年金差額一時金」)
    ―障害年金が障害の改善又は受給者の死亡により停止する場合に、累積支給額が最低保障額未満のときは、その差額を一時金として支給する
    C行方不明手当
    ―職務上行方不明となったとき、3ヶ月間100%の所得保障を実施
    D職務上の死亡に対する年金、一時金の最低保障(「遺族一時金・遺族年金差額一時金」)
    ―遺族年金が受給者の死亡により停止する場合に、累積支給額が36月分に満たないときは、その差額を一時金として生計を維持していた受給権者へ支給。また遺族一時金は36月分が支給される

     なお、この船員保険の上乗せ給付のうち、上記ABDは労災保険からの給付が行われることが前提となります。船舶所有者の方々は、労災の特別加入制度に加入しなければ給付は受けられませんのでご注意下さい。また、現在すでに職務上疾病・年金部門で給付を受けている方は、平成22年1月以降も改正前の船員保険法に基いて給付を受けることになります。詳しい内容については当会ホームページをご参照下さい。

  • Q4. 平成22年1月から船員保険制度の改正に伴い、労働保険成立の手続きを行う必要があると聞きました。どの様に進めていけば宜しいでしょうか?又、今後船舶所有者に対する補償はどの様に変わるのでしょうか?

    A4. 労働基準監督署への「保険関係成立届」の届出と保険料の申告・納付の手続きが必要となります。ただ、船舶所有者に対する補償を受けるには労働保険事務組合へ事務委託し、特別加入制度に加入いただく必要があります。

    労働保険成立の手続きについてですが、平成21年11月頃に社会保険事務局等から送付された保険関係成立届を作成し、平成22年1月12日までに、所轄の労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
    また、労働保険(労災保険・雇用保険)の成立に伴い、平成21年度に対する概算保険料を提出後50日以内(平成22年2月22日)に申告・納付いただくこととなります。
    上記手続きにより、船舶所有者に雇用されている船員の方々について、労災保険制度からの給付を受けていただくことが可能となります。
    ただ、船舶所有者である方々については、上記手続きのみではお仕事上の怪我に対する労災保険制度からの給付を受けていただくことができません。

    船舶所有者であり且つ船員を雇用している方々(いわゆる中小事業主)が、労災保険制度からの給付を受けていただくには、厚生労働省の認可団体である、労働保険事務組合に労働保険に関わる事務を委託し、特別加入制度に加入いただくことが必須要件となります。

    船員保険の職務上疾病に対する独自給付部分についても、労災保険が支給されていることが支給要件となりますので、特別加入されていない場合にはお仕事上の怪我や病気に対する補償が全く無くなってしまうこととなります。

    大幅な制度改正により、疑問やご不安をお持ちの場合は、お気軽に当会までご相談くださいませ。

  • Q5. 船員保険制度が改正になると聞きましたが、今後の手続き関係はどうなるのでしょうか?

    A5. 船員保険制度は全国健康保険協会が運営するにあたり、被保険者証が切り替わります(被保険者および被扶養者お一人1枚のうぐいす色のカード)。切り替えまでの間は現在お持ちの被保険者証を引き続き使用できます。切り替えについては、事業所様ごとにお知らせが行きます。お手続きの窓口は年金事務所(社会保険事務所)になります。

    雇用保険は、船員保険の失業部門の適用データを引き継ぐ形で移行し、データの移管結果を事業所様に通知し内容を確認いただくことになります(平成22年1月中旬以降)。内容を確認の上で必要事項を届出る必要があるのと同時に、確認したデータに変更箇所がある場合は変更事項も届出しなければなりません。
    また、船員保険の失業部門の適用を受けている法人代表者の方は雇用保険に加入できませんので、移管結果の通知を受けた後に被保険者資格の取り消しを行なわなければなりません。お手続きの窓口は事業所の所在地を管轄する公共職業安定所になります。

    労災保険は、労働者の業務上の事故や通勤時の怪我に対して必要な給付を行う制度であり、船舶所有者様に雇用されている船員(労働者)であれば強制加入となり補償を受けられます。お手続きの窓口は事業所の所在地を管轄する労働基準監督署になります。
    ただし、労災保険についても雇用保険と同様に法人代表者や事業主は加入できず、労災保険制度から給付を受けるためには別途特別加入制度に加入していただく必要があります。船員保険の上乗せ給付は労災保険が支給されていることが支給要件となりますので、特別加入制度に加入することをお勧めします。特別加入制度への加入は弊会のような労働保険事務組合に事務委託している場合に限り、事業主のみならず家族従事者や会社役員の方々も労災保険に加入する事が可能となります。労働保険料の申告から、もしもの事故が発生した場合の申請代行まで一切お手間を掛けずに対応しております。不明な点があればいつでもご相談下さい。

  • Q6. 今年の4月の雇用保険法の改正で6ヶ月以上の雇用見込みがある人も被保険者になると聞きました。そこで当社のパートさんの雇用保険に関して質問です。そのパートさんは当初、「平成21年2月1日から平成21年8月31日までの雇用契約で週4日、1日5時間労働、契約更新は無し」という条件でした。しかし、平成21 年9月1日から1年間の雇用契約(勤務条件は同じ)で更新することになりました。このパートさんは6か月以上の雇用見込みができた契約更新時の9月1日付けで雇用保険の加入手続きをすればよいのでしょうか?もしくは雇用保険法が改正された4月1日に遡って加入しなければいけないのでしょうか?

    A6. ご質問のパートさんは9月1日から雇用保険の加入となります。

    まず4月1日の雇用保険法の改正ですが、その内容は短時間就労者(*)、派遣労働者の雇用保険の適用基準が拡大されました。

    そして、その新基準は、@6か月以上の雇用見込みがあること、A1週間当たりの所定労働時間が20時間以上あることです。
    ちなみに旧基準は、@1年以上の雇用見込みがあること、A1週間当たりの所定働時間が20時間以上あることでした。

    そこで、4月1日より前から勤務しているパートさんは、いつの時点で雇用保険の被保険者の手続きをしたらよいかということですが、4月1日時点での雇用契約において新適用基準に該当するかどうかで判断して下さい。

    ご質問のパートさんですが、雇用契約時は旧基準となりますので、被保険者になれません。
    そして4月1日からの新基準においても、雇用の見込みが6ヶ月以上ありませんので4月に遡って加入することはありません。9月からの契約更新時においてその契約内容が、新基準を満たしていますので9月1日からの雇用保険加入ということになります。

    但し、今回のケースとは別に、4月1日時点で雇用見込みが6ヶ月以上ある場合は4月1日からの保険加入となります。
    例えば、今回の契約が「平成21年2月1日から平成21年10月31日までの雇用契約で週4日、1日5時間労働、契約更新は無し」の場合を考えます。トータルの雇用契約期間は9カ月であり、旧基準に該当しない為、雇用保険には加入できません。しかし、新基準となった4月1日の時点での雇用見込みが7カ月ありますので、その時点からの加入ということになります。
    つまり、1週間当たりの所定働時間が20時間以上あることはもちろんのことですが、4月1日の時点で6ヶ月以上の雇用見込みがある場合には4月1日からの加入となりますのでご注意ください。


    *短時間就労者について
    その事業所の通常のフルタイム労働者の方より所定労働時間が短く、なおかつ1週間の所定労働時間が40時間未満の労働者

  • Q7. 労働保険料の計算をする中で「一般拠出金」という項目がありますが、これは何ですか。

    A7. 石綿(アスベスト)を吸入したことによる健康被害が社会問題となったことで、中皮腫や肺がん・気管支がんにかかったかた(労災の対象となるかたは除く)や、その遺族に対し、医療費等を支給して石綿による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として平成18年3月27日に「石綿による健康被害の救済に関する法律」が施行されました。
     一般拠出金とはこの法律により、石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てるため、事業主に負担してもらうもので、平成19年4月1日から申告・納付が始まった制度です。


    1 一般拠出金の負担対象
     石綿は安価で断熱、耐火、防音などで高い性能を持っていた石綿は、高度成長期以降あらゆる産業の設備や機材に幅広く使用された経緯から、事業活動をおこなう全ての事業者が石綿の使用による経済的利得を受けてきたという考えかたから、健康被害者の救済にあたっては石綿の製造販売等を行ってきた事業主だけでなく、すべての労災保険適用事業場の事業主が対象となります。(石綿を扱う事業者は特別拠出金も納付する必要があります。また労働者個人の負担はありません。)

    2 一般拠出金の計算方法と納付方法
     一般拠出金は労働保険料とは別のものですが、算出には労災保険料の算定基礎となる賃金総額に一般拠出金率(1000分の0.05)を乗じて算出します。一般拠出金率は業種や規模を問わず一律となっています。
     こうして算出した一般拠出金は、労働保険の確定保険料に併せて申告、納付します。一般拠出金は労働保険料に比べて小額であることなどから概算納付の仕組みをもちませんので、延納(分割納付)はできません。

  • Q8. 当社は建設業を営んでいます。今回工事を元請けすることになったのですが、労働保険に関する届出や申告はどのようにしたら良いでしょうか。

    A8. 建設の事業は労働保険上は「有期事業」とよばれ、元請けした事業主がその工事ごとに開始時に概算保険料を納付し、工事完了後に確定保険料を精算するという方法で申告を行います。
     この方法は工事が多くなると非常に煩雑ですので、一定の条件を満たした場合、複数の工事をまとめて報告し、年度ごとにまとめて申告納付することができます。これを有期事業の一括といいます。
     有期事業の労働保険関係一括の要件は、以下のようになります。
    @ それぞれの事業が有期事業であること
    A 事業主が同一人であること
    ※ 同一企業による事業であること。
    B 建設の事業又は立木の伐採事業のいずれか一方のみに属すること
    C 労災保険料率表による事業の種類を同じくすること
    D 概算保険料の額が160万円未満かつ請負金額が1億9,000万円未満
    (立木の伐採事業の場合は概算保険料の額が160万円未満
    かつ素材の見込生産量が1,000立方メートル未満)
    ※一括された個々の事業について、途中で規模要件から外れる事業規模の拡大があった場合でも一括扱いとします。また、反対に当初有期事業として保険関係を成立させた事業の規模が縮小されても、途中から一括扱いへの変更はできません。
    E 事業の実施期間がいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれていること
    ※ 二以上の事業が時期的に重複して行なわれなくてはなりません。
    F 労働保険料の納付事務が同一の事務所(一括事務所)で取り扱われる事
    G 事業が一括事務所の所在地がある都道府県労働局の管轄区域内又は隣接する都道府県労働局の管轄区域内で行われること
    ※機械装置の組立又は据え付の事業については地域的制限がありません。

    上記の要件を満たす有期事業であれば、一の事業とみなされ、労働保険関係を一括することができます。
    このように一括された場合は、それぞれの事業が開始する日の属する月の翌月10日までに、『一括有期事業開始届』を一括事務所の管轄の労働基準監督所長に提出します。
    保険料については年度末にこれらの開始工事のうち、年度内に完了した工事について、実際の請負費用から労災保険料を計算し、まとめて申告納付することになります。

  • Q9. 当社では、勤続10年以上の社員が定年により退職し、退職金を精算した上でそのうち1名の者はその離職日の翌日から嘱託として再雇用されました。

    A9. 雇用保険法においては、原則として労働者は雇用保険の適用事業所に雇用されたときに被保険者となり、離職等の翌日に被保険者でなくなります。
    雇用保険法でいう「離職」とは、被保険者について事業主との雇用関係が終了することをいいます。
    定年により退職した者の再雇用は、期間の定めのない常用労働者について一定の年齢に達したときは、退職すべきものであることを労働協約または就業規則によって規定し、定年後、契約期間の定めのある雇用形態に変更し、一定期間雇用関係を継続する制度です。

    雇用保険法においては、その社員が定年により退職した際に、退職金などの支給がなされた場合であっても、雇用期間に空白がなく、その実質が単に身分の切り替えにすぎないものであるときは、「離職」があったものとして取り扱わないこととしています。つまり、社員が離職した後一日の空白もなく再雇用された場合は、退職金の支払の有無または労働条件、勤務先などの変更の有無に関係なく、その社員の雇用関係は存続するものとして取り扱います。
    したがって、雇用保険の被保険者資格要件に該当していれば、届出の提出は不要であり、引き続き被保険者としておいて差し支えありません。

  • Q10. 今年から新しく労働保険の担当をすることになりましたが、前任者との引継ぎもままならないまま、数ヶ月が経ってしまいました。過去の賃金台帳を見てみると、異なった従業員で賃金総額も異なるのに、雇用保険料控除額が同じであったりするケースもみられます。雇用保険料が今年(平成21年)改定されたということですが、どのような点に留意する必要があるでしょうか?

    A10. まず、雇用保険料の被保険者負担分についてですが、現在は、「賃金総額 × 
    被保険者負担率 = 被保険者負担分(控除額)」という計算式で算出していますが、かつては社会保険料の算出時に用いられるような料額表によって決定されていました。現在のような算出方法となったのは、平成17年4月1日からです。
    また、料額表に替わって被保険者負担率を用いて算出する方式となってからも、平成21年4月1日に雇用保険料率が変更されました。このように、雇用保険料の算出に関しては変遷がありますが、現在もかつての料額表を用いて雇用保険料を算出していたり、雇用保険料率が適切に変更されていない事業所が多く見うけられます。過去に遡って、どのような控除をされてきたのかを確認する必要があります。

    なお、平成21年4月1日の雇用保険料率の変更は次表のとおりとなっています。雇用保険の一般保険料は適用事業所の事業の種類によって3種類に分かれ、被保険者の負担率も異なります。

    改定されたのに気づくまで改定前の算出方法で計算をしていた場合は、違算分を調整する必要があります。

    なお、平成21年3月31日「以前」に賃金締切日があって、同年4月1日以降に支払われた3月分賃金は、平成20年度の保険料算定基礎賃金として算入されますので、雇用保険率も改定前の保険率で計算します。逆に、平成21年3月31日「以後」に賃金締切日があって、同年4月1日以降に支払われた3月分賃金は、平成21年度の保険料算定基礎賃金として算入されますので、雇用保険率も改定後の保険率で計算することになります。

    また、4月1日時点で満64歳以上である免除対象者については、雇用保険料は免除されるため控除できません。ただし、任意加入による高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者は免除対象とならないのでご注意下さい。

    このように、法改正等によって控除額の誤りが発生する可能性がありますが、この種の誤りは従業員の会社に対する信頼関係に影響を与えかねないので、手続きは正確に行うことが必要となります。

  • Q11. 当社ではフリーター、主婦、学生等、アルバイトが多くおりますが、雇用保険には加入していません。近年、コンプライアンスを重視するようになり、要件を満たすものは加入させようということになりました。学生でも正社員並みに働いているアルバイトもおりますが、このような場合でも雇用保険に加入させなくてもいいのでしょうか。

    A11. 学校教育法第1条で規定されている「学校」の昼間の学部の学生、生徒等は雇用保険の適用事業所に雇用されていても雇用保険法上の労働者とは認められないため、雇用保険には加入できません。
    これは、雇用保険の被保険者は「安定した職に就職している者」が対象であり、失業給付の受給も「賃金によって生活を維持する者、つまり離職した際に再就職の為、積極的に求職活動を行う者」が対象になります。一方、昼間学生の本分は「学業」であり、アルバイトは臨時内職的なものと判断され、離職した場合でも本分である「学業」に専念するという状態になる為、雇用保険法上の労働者(被保険者)としては扱われません。
    なお、上記の取り扱いはあくまで昼間学生を対象にした取り扱いになります。夜間大学、定時制高校、通信制の教育を受けている者は、通常、継続的に雇用され、一般の労働者と同様に勤務しているとみなされるので、雇用保険の被保険者の要件に該当すれば被保険者となります。

    ただし、昼間学生であっても雇用保険の被保険者となる場合があります。

    (1) 卒業見込み証明書を有する者で、卒業前に就職し卒業後も引き続き当該事業所に勤務する予定の者
    (2) 休学中の者、又は一定の出席日数を課程修了の要件としない学校に在学する者であって、その事業において同種の業務に従事する通常の労働者と同様に勤務し得ると認められた者

    したがって、昼間学生のアルバイトであれば(1)、(2)に該当しない限り、被保険者とはなりません。
    また、社会保険については学生であることを理由に適用除外にはなりません。一定の要件さえ満たせば、被保険者となりますのでご注意ください。

  • Q12. 弊社では、不況による業務量の減少により、人員整理を行う予定があります。対象となった者が雇用保険の失業等給付をもらう際、特定受給資格者に該当すると聞きました。特定受給資格者とは何でしょうか。

    A12. 雇用保険では、退職したときの年齢が65才未満の人は、退職した理由によって失業手当を受けられる日数が変わってくるのですが、自己都合や定年退職で退職した人は「一般の離職者」と呼ばれ、雇用保険の加入期間だけで、失業手当の給付日数が決まります。

    一方で、会社のリストラや倒産でやむなく退職した人を雇用保険法上では「特定受給資格者」と呼んでいます。この特定受給資格者は雇用保険の加入期間と退職したときの年齢が考慮され、一般の離職者より、失業等手当の給付日数が手厚くされていることが特徴といえるでしょう。
    雇用保険の加入期間が5年未満ではほとんど差がありませんが、5年以上になると差が歴然と出てきますのでご注意下さい。

    <会社都合による退職のケース>

    -
    -雇用保険加入期間(=被保険者期間)
    退職時の年齢1年未満1年以上5年以上10年以上-
    -5年未満10年未満20年未満20年以上
    30 才 未 満90日90日120日180日
    30才以上35才未満90日90日180日210日240日
    35才以上45才未満90日90日180日240日270日
    45才以上60才未満90日180日240日270日330日
    60才以上65才未満90日150日180日210日240日

    <自己都合による退職のケース>
    -雇用保険加入期間(=被保険者期間)
    退職時の年齢1年未満1年以上5年以上10年以上-
    -5年未満10年未満20年未満20年以上
    年齢に関係なし90日90日90日120日150日


    また、ハローワークにおいて特定受給資格者と認められる人は「倒産により離職した人」と「解雇などにより離職した人」を言いますが、御社の従業員の場合は前述の「解雇などにより退職した人」として受給を受けることとなりますので、離職票作成の際にはきちんとその理由を明記してください。尚、以下に倒産と解雇の離職者について書き出してみましたので、参考までにご覧下さい。

    <倒産などにより退職した人>
    1.倒産によって退職した人。倒産とは、事業所の倒産、民事再生、会社更生などの倒産手続きの申し立てや、手形取引の中止をいいます。
    2.事業所の従業員の雇用状況が大きく変わった場合(1カ月間に30人以上の退職予定者がいる)の届出がされ退職した人。
    あるいは、その事業所の従業員の内、雇用保険に加入している1/3を超える人が退職したため、やむなく退職した人。
    3.事業所の廃止や縮小によって退職した人。
    4.事業所が移転したために、現在住んでいるところからの通勤が困難になり退職した人。

    <解雇などにより退職した人>
    1.リストラによって退職した人。ただし、本人の重大な過失で事業所に大きな不利益をもたらしてリストラされた人は除きます。
    2.入社時に提示された雇用条件と実際の雇用条件がはなはだしく違っていたため退職した人。
    3.給料の1/3を超える額が連続して2カ月以上支払われなかったため退職した人。
    4.給料が85%未満に下がったために退職した人。ただし、そのことが想定できなかった場合に限られます。
    5.退職前3カ月間で各月45時間を超える時間外労働があり退職した人。
    6.生命や身体に関わる法律違反について、行政から指摘されていたのに、事業所がそれを改めなかったために退職した人。
    7.事業所が従業員の職種転換のときに、継続して働けるような配慮を行なわなかったために退職した人。つまり、今まで経験のない職種に配置転換になったのに、経験者と同じノルマや技能を要求されたときなど。
    8.雇用契約が1年以内の従業員が3年以上雇用され働いているのに、当初の雇用契約を、更新してくれないため退職した人。
    9.上司や同僚からセクハラを受けたり、酷い冷遇、嫌がらせを受けて退職した人。
    10.事業主から直接又は間接的に、退職をせまられ退職した人。ただし、早期退職優遇制度を利用して退職した人は除きます。
    11.事業所が法律違反などにより、3カ月以上休業になり退職した人。
    12.事業所の業務が法律に違反しているため退職した人。


    また、平成21年の法改正で雇い止めとなった非正規労働者に対するセーフティーネットが強化され、一般の離職者と区別されるようになりました。平成21年3月31日より後に期間の定めのある労働契約が更新されず、本人が契約更新を希望したものの、契約更新がなされなかった人が離職した場合、<特定理由離職者>となります。
    今後、事業主は期間雇用の退職社員が出た際は、本人に延長の意思があるかどうかを確認する必要性が出てきますのでご注意下さい。
    なお、特定理由離職者に関しては被保険者期間が通常の12ヶ月の半分の期間、つまり6ヶ月以上あれば受給ができ、また失業等手当の給付日数が手厚くなる場合があります。さらに詳細を知りたい企業様はご相談ください。

  • Q13. 賃金支払日に、賃金全額を支払うことができず、一部未払いとなった状態で退職する者が出てきました。この場合、離職証明書に記載すべき支払賃金額は、実際に払った額でしょうか? それとも、支払うべきであった賃金全額を記載するものでしょうか?

    A13. ご存知のように、失業給付の基本手当の日額は、被保険者の賃金日額を基準として定められていて、この日額は、被保険者期間として計算された最後の六ヶ月に支払われた賃金総額より算出されます。

    この支払われた賃金とは、被保険者として雇用された期間に対するものとして、同期間中に事業主の支払義務の確定した賃金をいいます。ですので、実際に支払われた賃金はもちろんのこと、被保険者が離職する時点においてすでに債権債務が確定している賃金も当然含まれます。

    ご質問の未払い賃金とはすでに所定の支払日を経過しておりながら、離職時までに支払われていない、債権債務が確定している賃金ですので、当然この未払い賃金を含めた額を記載することとなります。
    ただし、離職証明書に記入する際には、未払い額を含めた合計額をそのまま記載するのではなく、未払い賃金は備考欄に、未払い賃金であることを明記し、その未払い額を記載します。

    ただし、例外的なものもあります。就業規則などによって支給条件が明確に示されている死亡弔慰金、結婚祝金、災害見舞金などでその支給が事業主に義務づけられている場合は、労働基準法の労働者の権利を保護しようという趣旨で、賃金とみなされます。しかしながら、雇用保険の観点からは、支給条件が明確であり、賃金とみなされる場合でも、個人的な吉凶禍福の際に支給されるもので、支給事由の発生が不確定なものは、算定基礎額には算入しないこととなっています。

  • Q14. 労災保険にはメリット制というのがあって、労災保険料が少なくなることがあると聞きました。メリット制とはどのようなものですか?

    A14.  労災保険のメリット制とは、個々の事業において業務災害の多い少ないによって、労災保険料率(非業務災害率を除く)を40パーセントの範囲内で増減させる制度です。大きな業務災害が発生したり、業務災害が多発している事業では労災保険料率が高くなり、逆に業務災害が少ない事業では、労災保険料率が低くなる制度です。

    メリット制の対象になるには、一定の要件があります。
    @事業の継続性 
    連続する3保険年度中の最後の保険年度に属する3月31日現在において、労災保険にかかる労働保険の保険関係が成立した後、3年以上経過していること

    A事業の規模
    ・100人以上の労働者を使用する事業であること
    ・20人以上100人未満の労働者を雇用する事業であって、
     労働者数×(労災保険率−非業務災害率)≧0.4を満たすこと
    ・一括有期事業の場合、確定保険料の額が100万円以上である事業

    労災保険のメリット制で労災保険料率の増減対象になるのは、業務災害であり、通勤災害や二次健康診断などの給付は、対象外になります。また、対象の業務災害であっても、労災保険料率に影響があるのは、業務災害の発生件数ではなく、支給された保険給付の総額となります。例えば、3回の業務災害で30万円の保険給付があった場合より、1回の業務災害で300万円の保険給付があった場合の方が、保険料率が高くなります。

    メリット制とは労働災害の防止努力の促進と会社の保険料負担の公平を図ることを目的とした制度です。会社としては安全衛生管理体制を整え、労働災害防止に努めることでメリット制の適用につながります。

  • Q15. 当社には関連会社に出向している社員がいます。賃金は出向元である当社が全額支給していますが、労働保険の申告をするときに何か注意することはありますか。

    A15. 出向している労働者がいる場合、労災保険と雇用保険で取り扱い方が異なります。

    まず労災保険ですが、出向した労働者はその出向先の事業主の指揮監督を受けて労働に従事することになるため、給与を出向元で全額支払う場合でも、労災保険は出向先で加入することになります。 従って労働保険の年度更新の際には、その出向社員の賃金額を出向先に伝えて、労災保険料の算定基礎額に合算してもらう必要があります。

    一方で雇用保険は出向元の会社で賃金が支払われる、いわゆる在籍出向であれば、出向元の会社の被保険者となりますので、支払った賃金は出向元である御社の雇用保険の算定基礎額に合算して申告を行います。

    ちなみに出向元と出向先の双方で賃金が支払われてる場合であっても、雇用保険は複数の事業所で取得することはできませんので、どちらが主として雇用しているかを判断して一方で加入、申告することになります。

  • Q16. 金属加工品の卸売業を営んでおり、本社2階が事務所で1階が商品倉庫となっています。今回、倉庫が手狭になったため、郊外に倉庫を新設し、外注している運送業者への商品搬出等を行うため、クレーンとフォークリフト操作に従事する者を雇い入れました。倉庫の労災保険率適用について、当社は卸売業なのでそのままでいいですか?

    A16. 個々の事業における労災保険率適用の原則として
    @事業の単位
    Aその事業が属する事業の種類
    Bその事業の種類に係る労災保険率
    の順で決定されます。

    このケースで事業の単位をみると、継続事業(商店や一般の工場等、特別の事情がない限り存続することが予定されている事業)においては、場所的に分離されているものは、別個の事業として取り扱うため、倉庫自体の事業の種類が何かということになります。

    常時作業に従事する従業員の方がおられて、かつクレーンやフォークリフト操作を行うということであれば、同倉庫については、御社の事業が卸売業であっても、また名称は倉庫ですが、労災保険については貨物取り扱い事業として保険関係の成立を行うことになります。

    別途留意する事項としては、労働保険年度更新時には、労災保険料の計算に際して、倉庫作業に従事している方の賃金は、倉庫での労働保険番号において確定概算・申告納付を行い、倉庫における労働保険成立日以降、本社の卸売事業における労災保険料から同従事者の賃金を除くことを忘れないようにして下さい。

    雇用保険についても、適用事業所としての判断基準(別途要件があります)に該当しないようであれば、事業所非該当承認申請を行い、本社で雇用保険手続きの一切を行うことをおすすめします。

    また、安全衛生面においても、クレーンの種類によって、必要免許・講習受講が様々ですので、必ず作業従事される方の免許等を確認することが大切です。

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