労災保険が適用になるのは、あくまでも労働者が労務の提供をしている間に発生した災害についてです。しかし直接の労務提供がない会社の行事の最中に起きた災害でも労災と認められる場合があります。

 その判断基準ですが、その行事がいかに通常の労務提供と等しく取り扱われていたかによります。行事に参加することが強制であり、参加しなかった労働者については欠勤扱いとして賃金控除をする場合などは、その行事中に起きた災害については業務災害として認定される可能性が高いでしょう。

そこでご質問のケースですが、
@ 慰安旅行は強制参加ではない
A 不参加者については欠勤扱いをしていないものと推測される
以上の要件からも旅行自体が慣行化しているとはいえ、業務災害とは認められないでしょう。

 最終的に認定をおこなうのは労働基準監督署ですが、ご質問のケースに類似した事例で、慰安旅行中に観光バスが崖から転落し負傷者が多数出たという事故があります。この事故の判例では、一般の参加者(労働者)については慰安旅行が自由参加であったため労災と認められませんでした。しかしこの旅行の世話役だった2人については業務遂行性があるとして、労災と認められています。また別の事例で、職場のレクリェーションとしてイモ煮会を開催した際、爆発事故が起こり被災したケースでも、幹事役の2人についてだけ労災と認められたものもあります。

 上記の事例などから見ても、その行事の世話役や幹事役には職務の一環として参加していることからくる業務遂行性が認められ労災認定を受ける場合が多く、またそうでない一般の参加者については業務外と判断され、労災と認められないことになります。